常置委員会 委員長
依田 哲也 東京科学大学 歯学部長
本会議は、全国の国公立大学の歯学部長等および歯学部附属病院長等を構成員とし、国公立大学歯学部等における教育、研究および臨床に関する諸問題を協議して意見の統一をはかることにより、わが国における歯学ならびに歯科医療の進歩・発展に資することを目的としています。
さて、わが国に未曾有の超高齢社会が到来していることは周知の事実であります。国公立大学歯学部等においても、社会構造や疾病構造が激変するなかで、時代の要請に応じた歯科医療提供体制を整備すること、あるいは、時代の要請に適応できる人材を育成するための教育体制を拡充することが、重要な課題となっています。
ところが、教育・診療・研究ならびに管理運営のいずれについても、さまざまな課題が山積しています。例えば教育については、モデルコアカリキュラムの策定や共用試験の実施など、歯学教育の標準化や質の担保を意図したさまざまな改善・充実のための取組が行われており、本会議もその計画、運用等に貢献してきたところであります。しかしながら、グローバル化が急速に進展しつつある現在、国際基準に準拠した歯学教育の質保証の仕組みを整備するという、喫緊の課題への対応が求められています。また、診療参加型臨床実習の更なる充実化を図るべく、実習対象学生の「資格化」等により、実習国民や患者の更なる理解・協力を深めることも検討されています。さらに診療については、上述した時代の要請に呼応するのみならず、安全で質の高い医療を国民に見える形で提供することが求められています。
これらの課題に組織として一丸となって対応し、歯学・歯科医療の発展を介して国民に役立つ存在となることが、本会議の最大の意義と考えております。今後も時々刻々と変化する社会的の要請を見据えながら、本会議を通じて叡智を結集し、国民の期待に応えるべくさまざまな課題の解決に向けての議論を重ねる所存であります。
今後とも、本会議へのご理解とご協力を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
常置委員会 委員長校首席副病院長
新田 浩 東京科学大学病院 首席副病院長
国立大学が法人化されて以来、歯学部附属病院は自立した運営と経営が求められるようになりました。本来の使命である教育と研究、診療を高いレベルで達成するために、財政基盤の安定化と医療安全を担保する環境の整備と体制の確立が急務となっています。
国公立大学歯学部・歯学部附属病院が将来にわたって国民のために役立つためには、さまざまな問題に対して組織として合同で取り組んで行く必要があります。患者さんが安心して診療を受けることができるよう、これまでも医療安全に関するたくさんの取り組みに着手し、病院機能の質の向上を図ってきました。そうした中で、主体的な改善を促進することを目指して、各病院間で定期的に医療事故防止に向けた相互チェックを実施してきました。こうした取り組みにより、病院職員の医療安全への意識向上や医療事故防止に大きな効果があったと考えています。
医学部附属病院を含めた国立大学附属病院長会議では、平成29年に「将来像実現化行動計画2017」を取りまとめ、その中で教育、診療、研究、地域貢献、国際化、運営の各領域に加えて、「歯科」からの提言として6つの宣言を発表し、全身の健康に関する教育の整備、診療技術の高度化、栄養摂取状態の把握と指導、歯科疾患の評価(検査)の強化、災害時に対応できる歯科医療体制の確立、国際的連携と外国人患者受入体制の強化などを提言しました。国公立大学歯学部とその附属病院が将来にわたって国民の健康増進に寄与し続けるためには、こうしたグランドデザインに沿って努力を続けていくことが大切と考えます。
それぞれの大学の理念や置かれた環境が異なるとしても、最終的なゴールは国民に役立つ存在となることで一致しています。今後とも歯学部・歯学部附属病院の発展に向け、ご指導ご鞭撻を賜れば幸いに存じます。